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人間のあたたかさよ。
とある朝の出来事。
今にも泣き出しそうな、張りつめた感情を抱えながら、一人あてもなく歩いていた。
お腹空いたなぁ・・・
時刻は7時半を過ぎたところ。
こんな早朝から空いているお店なんて貴重すぎる!と、ふらっと入った初めて行くパン屋さん。
店員さんの優しい声。明るくて爽やかな挨拶。
声のトーン、波長ってすごい。
一瞬で空気を変えてしまうんだな〜
そんなささやかな感動をおぼえながら、モーニングセットを注文。
店内にいるお客さんは自分一人だけ。
「冷房、寒くないですか?」
当たり前のように自然体な気遣い。
そういう何気ない日常の出来事が、自分に与える影響の凄まじさは、
時に想像を超えていく。
心の棘がホロホロと抜け落ちていくのを感じる。
ある種の魔法だよ、これ。
大袈裟でもなんでもなくて、
この類の魔法はきっと、ごくごくシンプルに当たり前のように身近に溢れてるのだろう。
ありがとう。
パンとコーヒーの美味しい匂いを嗅ぎながら、そんなことを考える朝のひととき。
いとも簡単に自分の中の魔法の概念が変わってしまった。